笑わせてくれる愉快な音楽って、めったにない!
思わず笑ってしまったのです。でも、この「六重奏曲」は、あまりに面白すぎる室内楽曲です。
具体的に編成を書きますと、
フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、ピアノという六種の楽器による編成。
第一楽章 冒頭から、いきなり冗談で始まるかのような和音。驚かされます。そして、まるで「トムとジェリー」という漫画みたいな息をつかせる間もないような楽器同士の鬼ごっこが始まります。美しいメロディもあるけれど、終始忙しいかけっこ。
かけっこが終わるとファゴットの哀愁帯びたメロディに続き、ピアノの叙情的ソロ、オーボエ、クラリネット、ファゴットの音、フルート、そしてホルン。
変な音楽だけれど、雰囲気たっぷりの曲想に、なんとなく神秘性を感ずるのは不思議です。「ドラゴンクエスト」のほこらでの彷徨いを思い起こしてしまいます。
やがて曲は再び鬼ごっこに戻ります。いやあ、疲れますよ、この楽章。
第二楽章 は、オーボエの綺麗なメロディで始まります。神秘的?いや、安らぎかも。フルートやホルン、ピアノもいいな。いきなり、ホルンの快活なメロディが続き、とても微笑ましい。第一楽章に比べると安心して聞けるかな?第一楽章を思い起こさせる曲想も途中出るけれどこの楽章冒頭の美しいメロディに続きます。
第三楽章は、再びピアノが伴う鬼ごっこに逆戻り。これこそ、笑ってしまうほどの快活さです。それぞれの楽器が持ち前の特徴を生かし、この楽章は少しはメロディというものを感じられる。でも、一見支離滅裂のようなメロディと和音は、不思議と調和がとれている感じがしてきます。最後になって、クラリネットが導くぶきみなメロディに続く、不協和音(聞いていて心地よくない和音だから不協和音。でも、これが結構病みつきになるんです。苦み、辛みなど、普通でない物にひかれることって人間にはあるでしょう?)でのフィナーレ。
音楽で笑いたい方は、ぜひこの曲を、一度聞いてみて下さい。プーランク独特なメロディや和音は魅力的です。最初は驚くでしょうし、「何だこれは?」と感じるかもしれませんが、そのうちきっと病みつきになります。