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サイモン&ガーファンクル ライブ at マイアミ大学(オックスフォード)1969

 驚きのCDをアンサンブル(私のお気に入りの中古CD・レコード店。通販も取り扱っている。同店サイトのヴァーチャル商品棚では15,000点の在庫から選べる。ご主人執筆の「頑固店主日誌」は秀逸なエッセイで必読)で見つけた。
 1969年11月11日にオックスフォードのマイアミ大学で行われたサイモン&ガーファンクルのライブCDである。彼らがアルバム「明日に架ける橋」を録音している真っ最中の時期でもあり、同アルバム収録の作品が何曲か演奏されていて大変興味深い。同アルバムの12曲目に入る予定であった幻の「Cuba Si-Nixon No」も入っている。
 このCDはMY SOUND S.r.Lというイタリアのレーベルで、CD自体はイスラエルで生産されている。それを日本の企業が輸入し日本語解説を付け販売したようだ。Amazonでも取り扱っていないので、どういうルートで売られているのかは不明だ。笑ってしまうのは、使用されているジャケットの写真が、たぶん1981年のセントラルパークコンサート以後の時期の二人のステージ写真のようなこと。
 サイモン&ガーファンクルのコンサートといえば、必ずポールのギター伴奏のみだったのだが、この頃のコンサートではバックバンドが加わるようになったようだ。アルバム「明日に架ける橋」のサウンドはギター1本だけの伴奏では効果的な演奏ができなくなったからだろう。「明日に架ける橋」もピアノが必要だから。
 ライブということで、当然声やハーモニーの乱れもあるけれど、臨場感が伝わり、二人の妙芸がよくわかる。曲の合間の語りもいい。なによりも会場と一体になっている。
 収録曲は以下の16曲
 1. ミセス・ロビンソン
  この頃のサイモン&ガーファンクルのコンサートは必ずこの歌で始まる
 2. フェイキン・イット
  まさかライブでこの歌を聞けるとは夢にも思わなかった
 3. ボクサー
  スタジオバージョンに匹敵するクオリティ。ギターがかっこいい。オフィシャル版には入っていない三番と四番の間の歌詞がこの時点で既に入っていることに驚いた。(詳細はメルマガのVol-34参照)
 4. フランクロイドライトに捧げる歌
 歌の前にアートが「僕は昔建築を学んでいて、もちろんフランク・ロイドライトを尊敬しています。ポールが彼の歌を書くなんて本当に驚きました。」と語り、クラシックギターに持ち替えたポールの前奏が始まる。
 5. 手紙が欲しい
 のりの良いこの歌は、ライブにぴったりだ。
 6. 銀色のダディ
  カウントリーウェスタン風。三枚組アルバム「旧友」にも収録されていた曲。歌の前にポールが「今日は僕の誕生日なんだ」と
 7. キューバ・シー・ニクソン・ノー
  オフィシャル版には入っていないのでこのCDで初めて聞きくが、曲調は完全にロックンロール。「明日に架ける橋」に収録されていたとすれば、かなり異色な存在になっただろう。
 8. 明日に架ける橋
 「新しい歌で「明日に架ける橋」を歌います」
 とアートが静かに語り、ピアノ伴奏が始まる。ピアノのアレンジも、アルバムバージョンとほぼ同じ。第三コーラスではベースとドラムも加わり盛り上がりを見せる。ポールはステージ袖に引っ込んだのだろう、終始アート一人で歌う。演奏前は、聴衆はこの歌を初めてきくせいもあり固唾をのんでいる様子が伺えるが、演奏が終了した後の、割れんばかりの長い喝采が印象的だ。一度聞くだけで人の心をつかむ、やはり名曲なのだ。
 9. サウンド・オブ・サイレンス
 前奏が始まると、今度は、すぐに拍手が沸き上がる。「水曜日の朝、午前三時」収録のアコースティックバージョンを思い出させる二人の原点。聞いていてじーんとしてくる。
 10. バイバイラブ
  ここでいったんフェードアウトするが、再び始まるのはアンコールステージだろうか。今度はバックバンドなしで、ポールのギターだけの本来のサイモン&ガーファンクルのステージだ
 
 この後の演奏はいずれも素晴らしい。ギターも、デュエットもぴったりと息があい、さすが! コメントも必要ないだろう。
 11. 早く家に帰りたい
 12. 動物園にて
 13. アメリカ
 14. ソング・フォー・ジ・アスキング
 「次のアルバムは98%収録が終わっています。そのアルバム収録の新しいポールの歌を、、、」とアートが語り始まる。これが事実上S&G最後の歌、、、。
 15. 地下鉄の壁の詩
 16. エミリーエミリー
 
 二人とも心底コンサートを楽しんでいる様子だし、ポールもアートの映画出演について嬉しそうに語っていた。まさかこの後間もなく、二人の亀裂が深まり活動中止となろうと、誰が予想しいていただろうか。活動停止前の貴重な録音を聞けたのは本当にラッキーだ。
 オフィシャル版ではなく、販売ルートもどこか怪しいけれど、このライブCDがサイモン&ガーファンクルファンに与えてくれる喜びは想像以上に大きい。私は幸運にも中古で入手できたのだが、一般で手に入る方法はあるんだろうか?ご存じの方がいらっしゃればぜひご一報を。情報は誌上で紹介するつもりだ。

アルバム情報
SIMON and GARFUNKEL
Live at the Miami University, Oxford, Ohio, U.S.A.
November 11,1969
CD Lavel Number:INP031

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