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SONG, PAUL SIMON/ソング・ポール・サイモン
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Vol.19 2003年3月29日(土)
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落ちることを学びなさい Learn How To Fall
アルバム「ひとりごと」 There Goes Rhymin' Simon 第8曲
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アニマルズの「朝日のあたる家」前奏のテンポを早めたような前奏はアコース
ティックギター一台。ギター二台目、そしてドラムとベースがやがて加わりま
す。マイナーコードなのに、前奏が終わればいきなりメジャーコードに変わり、
「え?」と思う暇もなく歌が始まります。
歌詞がなんとなく教訓的な内容で鼻持ちならないけど、とにかく歌を聞いてみ
ましょう。歌は終始軽いタッチです。
Learn How To Fall
(Music and Lyric by Paul Simon 1973)
You got to learn how to fall
落ち方を学ばなきゃね
Before you learn to fly
飛べるようになる前に
And mama, mama it ain't no lie
ママ、ママ、でまかせじゃないんだよ
Before you learn to fly
飛ぶ前に、まず
Learn how to fall
落ちることに慣れるんだよね
飛ぶ前に落ちることを知る。プラス思考でもあらかじめマイナス的な場面につ
いて知っておけ、ということなのでしょうか。成功したときだけを夢見ていれ
ば失敗すると、立ち上がれないほどのショックですから。
この考えは、「なにかがうまくいく」Something So Right の考えに似ていま
すね。
なぜかママが登場します。子供っぽく演出しようというのでしょうか?あるい
は親しみやすくする目的かも。
前奏のギターが印象的だったので、その後の演奏も、ギター以外これといった
印象の残らない曲です。途中でホーンセッションが入るし、ドラムやギターも
たんたんと進みこれといった特徴はありません。それは前奏と同じコード進行
の部分が強烈だからに他ありませんが、、。
You got to drift in the breeze
風を感じてみなきゃ
Before you set your sails
帆を張る前に
It's an occupation where the wind prevails
風を読む、それが仕事ってもんさ
Before you set your sails
帆をはる前にまず
Drift in the breeze
風にのってみな
このあたりになると先に述べたような説教くささをかんじざるをえません。
まあ、これがポールの考え方、というか哲学のようなもの。あくまで慎重に、
何が起こるかを常に予想した準備をするという点でね。
さびの部分のメロディはあくまでそれまでの二節に続く音楽的な流れ進みます
す。作品全体の流れの良さは抜群ですよね。
Oh and it's the same old story
それは言い古された話
Ever since the world began
人類が誕生して以来ずっとあるおきまりのお話さ
Everybody got the runs for glory
誰もが成功をめざして走り続けるけど
Nobody stop and scrutinize the plan
たち止まり、もう一度計画をよく考え直す奴などいやしない
Nobody stop and scrutinize the plan
ただ先急ぐだけで、ろくに考えもしないんだから
歌のテーマはシンプルでわかりやすく、曲もさほど難解な印象がないためでし
ょうか、私はこの歌がアルバムの中でさほど印象に残っていません。しいてい
えば前奏が前述の「朝日のあたる家」、発展系では井上陽水の「傘がない」に
に似ているということくらいです。
まあ、アルバムの全曲が深い意味合いや特徴をもっていれば、聞く側は疲れる
だけ。こういう軽いタッチでしかもシニカルなメッセージを含む歌も必要でし
ょう?ポールはそのあたりを充分予想していたのでしょう。
でも、あらためて聞いてみれば、これは意外に味わい深い歌。詩の内容もそう
ですが、歌の展開もなかなかで、バックのアレンジもいいです。そして、タイ
ルが傑作です。
伴奏の合間に入るエレクトリックギターに耳を傾けましょう。目立たないけれ
どいい音を出しています。もちろんポールのアコースティックギターの音も!
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