モーツァルト「レクエイム」
教会の鐘の音が鳴り響く
厳かなオーケストラの前奏とファゴットの音。
もう既にこの部分で心の中からこみ上げてくるものがある。合唱が始まる。美しい合唱だ。
ウィーンのシュテファン教会は、ウィーンのど真ん中にそびえ立つゴシック建築で有名な教会である。教会なのだが、観光名所としての色合いも強い。中に入るとその天井の高さに驚かされる。信者でない私でも不思議と敬虔な気持ちになる。別世界とはこのこと。
私が今日聞いている一枚のCDは、1991年12月5日、モーツァルトの命日にあたるこの日に、モーツァルト没後200年を記念し行われたイベントのクライマックスを収録したものだ。指揮はゲオルグ・ショルティ、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団。教会の音響も素晴らしいが、追悼ミサのため、牧師の典礼文も収録されている点が、興味深く、また感動的である。
モーツァルト「レクイエム」については、「クラシック音楽夜話」メルマガ版で既に2回に渡り書いているので、ここで詳しいことを記載はしない。しかし、再三私が述べているように、この曲は「死者のためのミサ曲」であるということはやはり教会で、儀式の中で演奏されてこそ輝くものである。その意味で、このCDは大変貴重である。
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