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ベネディクトゥス Benedictus

 ミサ曲の典礼文を歌詞としポールとガーファンクル共同で曲をつけた作品。
 ギターのアルペジオに、弦楽器が加わって伴奏されている。二人のハーモニーの絡み合いは見事で、本当に美しい歌になっている。
 
 ミサ曲は長い歴史があって、コーラスの発展にも大きな役割を果たしている。おそらく二人も幼少から教会でミサ曲に慣れ親しみ、知らず知らずのうちにその音楽の構造、複数のメロディラインが絡み合うことにより生み出されるハーモニーの仕組みなどを身につけてきたのだと思う。
 
 フォークロック(60〜70年代当時はそう呼ばれていた)のアルバムになぜミサの典礼文が、という疑問を感じは、当時はしなかった。というよりミサ曲そのものの知識がなかっただけだが、とにかく、詩の訳を見ると他の歌と比べて違和感があった。
 
    祝福あれ 神の御名において
 
 などという内容の詩なんだから、無理もない。
 
 歌と宗教(この場合はキリスト教)の関係について、少しわかるようになるのは、ずっと後になってだが、サイモン&ガーファンクルの作品にもそれが所々に見え隠れする。
 
 ポール・サイモンのソロになってからの歌で「アメリカの歌」という曲がある。これは、メロディを宗教曲から借用したらしい。それを知らずに聴いているとポールのオリジナルと信じて疑わない位フィットしているから、不思議だ。
 
 あの時違和感のあった「ベネディクトゥス」、今聴いてみると実に味わい深い歌であると感じる。  

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