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第一作アルバム 「水曜日の朝、午前3時」
 
 1964年(昭和39年)に、ポールがCBSレコードのプロデューサーと会い、彼のデモテープを聞いてもらってレコード発売を勧められ完成したS&Gの記念すべき第一作アルバムが「水曜日の朝、午前3時」WEDNESDAY MORNING, 3AMです。
 
 アルバムのジャケットは、ポールとアートが地下鉄のホームの広告壁のようなものの前に立ち、発車した地下鉄を横に、こちらを見ている写真。そして大きな古ぼけたブロックフォントのようなタイトルが黒いバックに白ヌキでジャケットの半分を占めています。
 
 サブタイトルとして、
 exciting new sounds in the folk tradition by....
 (フォーク伝統によるエキサイティングな新しいサウンド)
 とあります。
 
 伝統的なフォークというレッテルがポールの音楽に貼られていたのかと、今改めて知りました。それまでの音楽とは全く違う性格だったのにもかかわらず。商業の世界では売るためには、大衆受けするコピーライティングが必要だったのでしょう。それが矛盾したものであろうと(今の時代も同じかもしれません)。
 
 作品
  Side A
     1. You Can Tell the World*
     2. Last Night I Had the Strange Dream*
     3. Bleecker Street(霧のブリーカー街)
     4. Sparrow(雀)
     5. Benedictus(ベネディクトゥス)
     6. The Sound of Silence(サウンド・オブ・サイレンス)
    Side B
     1. He Was My Brother*
     2. Peggy -O*
     3. Go Tell It On the Mountain*
     4. The Sun is Burning*
     5. The Times They Are Changin'*
     6. Wednesday Morining 3 A.M.(水曜日の朝、午前3時)
   
     *印はポール作品でない
 
 なんと、全12のうち、5曲だけが完全オリジナルだったんですね。30年前に聞いていた時全く意識しなかったけど驚き。なにしろS&Gの集大成アルバム(3枚組)にHe Was My Brother、Peggy-O(これは伝統音楽を二人がアレンジしたもの)、The Sun is Burningも入っていたので、てっきりこれらはポール作だと思い込んでいました(よく読めばわかるんですけど、我ながら盲目は恐ろしい)。

 アルバムを開くと、ガーファンクルが英国に住むポール宛に送った手紙(このアルバムのために書いたライナーノーツとそれに対する意見を尋ねる内容)、このアルバムが生まれるまでの経緯、録音時のエピソード、そして「サウンド・オブ・サイレンス」の成功など詳細な記載があります。
 
 それらの内容はS&Gを知る上で貴重な資料でもありますので、今後このメルマガで順次紹介していきます。もっとも、今発売されている同名のCDに、掲載されているかもしれませんので、重複したらご容赦下さい。
 
 「水曜日の朝、午前3時」は前にも書いた通り全く話題にもなりませんでした。その後、ポールは英国へ渡りクラブまわりなどをしながら自作曲を歌います。アートは失意で大学に戻ります。
 
 ところがあるディスクジョッキーが、アルバムA面最後の「サウンド・オブ・サイレンス」をシングル発売してみたらという提案をしました。CBSのプロデューサーが、このアイデアをとりあげ曲にドラム、ベース、12弦エレキギターのアレンジを加え発表した「サウンド・オブ・サイレンス」が大ヒットして全米第一位のヒットに結びついたのです。
 
 今このアルバムは、話題にはならなかったものの、S&Gの魅力が至る所に溢れています。他アーチストのカバー版でも、彼ら特有のハーモニーが歌をより生き生きとさせ、オリジナル曲については何のコメントも必要ない質だと思います。地味だけど心にぐっとしみる歌。その原点を介意間見るような気が今でも十分するのですが、皆さんはいかがですか?  

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